この家の電気は全てソーラー発電だ。
ソーラーパネルで発電した電力を
トラックサイズの車のバッテリーに溜めて、
電気を直流から交流に変換するインバーターという装置を通してから
家の電気として使っている。
車のバッテリーだから定期的に水を補充しないといけなくて、
このタイミングがけっこう難しい。
なんとなく1年中、
頭の端っこに『バッテリー』と書いたメモ書きが貼ってあるような感じ。
両手で抱えてやっと持てるくらいの
大きな直方体の白っぽいバッテリー容器を側面から見ると
下の方にLOWER LEVEL、上の方にUPPER LEVELと刻まれていて、
両方の間で水量が保たれているのが望ましい。
こんなこと、車や機械に詳しくない人だって
当たり前の知識なのかもしれないけれど、
私にはこのLOWERの手前で
水を補充する頃合い的なタイミングがいまだに読めない。
水がLOWERより下になってしまうと
バッテリーの蓄電力がとたんに下がるし、
最悪の場合バッテリー自体を交換しないといけない。
しかも一つのバッテリーにつき一つの水位ではなく、
いくつも小分けになっていて、
これらが均一に減っていくわけではない。
だから手前の見やすい側面から見える水位だけで
安易に判断することはできない。
なんで均一に減らないのだろう、
バッテリーをチェックするたびに浮かぶ疑問。
それにはちゃんとした性能上の理由があるに違いないから、
不満があるわけでは全くないのだけれど、
でも毎回10個のバッテリーをくまなくチェックするのは結構な作業だ。
ちなみに一つにつき6区画に仕切られていて
上から中を見ることができる蓋も6つ付いている。
つまり合計60箇所!
の水位をチェックしなければならないということを意味している。
今こうやって改めて書いている自分が若干驚いている。
チェックの目安は2ヶ月に一度と教えられたけれど、
水の減り方も少しずつというよりは
急にどこか1箇所が減ったりすることもあるそうで、
そんなことを耳にしたらやっぱり気にせずにはいられない。
だって、これがこの家で電気が使えるかどうかに直結しているのだから。
実際すでに一回、水が減りすぎてバッテリーをダメにした。
去年の夏、宿泊のお客様がいる時に電気が落ちることが続けて数回あった。
その時期、晴天続きというわけでもなかったので
蓄電がうまくできていない旨をその度にご説明し、
お客様も自然エネルギーで賄っていることを
十分理解の上で来てくださっているから、
みなさん快くその状況を受け入れてくださった。
中には「いやいやこういう体験がしたかったからむしろ楽しい」
などとスーパーポジティブなことを言ってくださる方もいた。
一応言っておくと、電気が落ちた場合でも予備の電源などのご用意は常備している。
とは言え、なんだか頻繁に電気が落ちる気がする、
などと少し思いつつ、バッテリーに水を足し、
電気をどこかで無駄に使いすぎていないか点検したりして
その場を凌いでいた。
でも、その後もやはり同じような症状が何度も続いて起こり、
とうとう、太陽が日中ずっと照っていたのに、
その日の夜中に電気が落ちる、ということが起きた。
変だ。
絶対におかしい。
ネットでも色々調べ、設置した方に電話で相談もし、
最終的にいつも車のタイヤ交換などでお世話になっている
町の自動車整備工場の人にまで電話で状況を説明した。
設置業者の方と自動車修理工場の方、両者から、
とりあえず各セルの比重を測ることができる比重計というものがあるから
それで全部を測るのがいいのでは、とアドバイスされた。
簡易なものなら千円位で購入できるとのことで、
早速購入して測ってみた結果、ほとんど全部が要充電ということが判明。
数日間ずっと晴天が続いた後だったのに。
ということはつまり一番避けたかった状況の、
バッテリー自体が蓄電できなくなっていることを意味していた。
多分LOWERラインよりもさらに水位が下がり、
そのことにしばらくの間気がつかないで、
その後、水を補充するということを繰り返していたのだと思う。
そしてとうとう、全てのバッテリーを交換するに至った。
専門の方によれば、バッテリーの寿命という見方もあったけれど、
それでももう少し水位のチェックを頻繁にしていたら、
などと考えてしまう。
そんなことを経験したので、
交換後のバッテリーの管理については相当気をつけている。
水を入れた後の様子をスマホで動画撮影して記録をつけ、
さらに今年から冬場0度以下になるような時は
バッテリーのまわりに保温のため養生シートや保温シートを巻いている。
その甲斐あってか、この冬は一回しか電気が落ちなかったし、
今年に入ってからもそれ以降まだ一度も落ちていない。
ちなみに今、目の前の外の景色は雨で霧も出ている。
昨日も霧が出た。
霧が出ても発電はするけれど、
やはり霧が出ない方がもちろん発電率も高い。
こういう日は、なるべく蓄電した電力の消費を減らすために
夜の電力をことごとく節約する。
使わないでいい電力の電源は全部オフにするし、
早めにいろんなことを済ませて、
布団に入るまで、無駄に電気を使わないようにもする。
その代わりにLEDランタンだとか、充電バッテリー式のライトや、
色々工夫はするからそれはそれで私的には意外と快適だと思っている。
もしかしたらこれって単純に慣れっていうことかもしれないけれど。
でもとにかく言えることは
確実にバッテリーの蓄電がこれまでに比べて安定している気がするということ。
電気が落ちる確率が絶対とは言えないまでも、かなり低くなっているように感じる。
来週あたり、またそろそろ60個の水位チェックしておこう。
Comments